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2024.02.15

ガチくん(Gachikun)インタビュー/【ストリートファイター6】プロゲーマー

『CAPCOM CUP 2018』の世界大会で優勝して、国内外から注目されているプロゲーマーのガチくん。2018年にはレッドブルと契約してプロゲーマーとしてのキャリアをスタートしています。Good 8 Squadに所属して、「ストリートファイターリーグ: ワールドチャンピオンシップ 2022」でも、チームを優勝に導いています。プロゲーマーになったきっかけ、上達方法、大切にしていること、「hi-hoひかり with games」を使ってみての感想など、お話を伺いました。

どんなに劣勢でも「最後には勝つんじゃないか」と思われるプレイヤーでありたい

努力していると思ったことはない。楽しいから続けてきた

――ゲームを始めたのはいつ頃、どのようなきっかけからでしたか?

家の前にゲームセンターがあったので、小学生の頃からゲームセンターに通っていました。本格的にやり始めたのは、高校に入ってからですね。「ストリートファイターIV」のリリースがきっかけで、格闘ゲームをやるようになりました。それまで人と人とが対戦するゲームをやったことがなかったんですが、これはおもしろいなと思いました。ゲームセンターの格闘ゲームは勝つと、ずっと続けられますが、負けると、お金を入れなければできません。明らかな結果の出るところにおもしろさを感じました。

――すぐに上達したのですか?

いえ、最初の数年は負けっぱなしでした。でも、やり続けていくうちに、広島では結構強いほうになった手応えがありました。広島はゲームプレイヤー人口が多いため、たくさん対戦できます。まわりの広島の人たちが「県外に練習に行こう」「大会に出てみよう」と積極的に誘ってくれて、強い人と対戦する機会を持てたことも大きかったですね。

全国大会というものがあると知って出たくなり、練習もたくさんするようになり、その結果、強くなっていったという流れでした。ただし、自分では努力していると思ったことはありません。楽しいから飽きることなく続けられたのだと思います。

――どのようなきっかけでプロゲーマーになったのですか?

以前は、プロゲーマーを意識することは、ありませんでした。プロゲーマーという職業そのものも肯定していませんでした。ゲームで生活できるとは思っていなかったからです。「ストリートファイターIV」の時代には、ゲームで生活できているのは、トップの一握りの人たちだけでした。ところが、「ストリートファイターV」の時代になり、プロゲーマーが少しずつ増え、自分よりも若いプロゲーマーも出てきました。だったら、自分でもなれるのではないかと思うようになったのがきっかけです。スポンサーも増えてきて、レッドブルのような大きな企業もゲームに興味を持ち、サポートしていると知ったことも、大きかったです。

――プロゲーマーを意識したことと、東京に出てきたこととは関連していますか?

格闘ゲームの企画運営を行っているTOPANGA(トパンガ)という団体の代表の方に、声をかけていただき、TOPANGAのメンバーになったのを機に、東京に出てきて、そのタイミングでプロになると決めました。僕は結婚していて妻がいますので、「東京に出てみたいんじゃけど」「1、2年やってダメだったら、広島に戻るけん」と話をしたら、「やってみたら、いいじゃない」と賛同してもらい、上京した経緯があります。

――広島と東京とでは、ゲームをやる環境の違いは、かなり大きいですか

広島には「ストリートファイターV」のプレイヤーがほぼいませんでした。「ストリートファイターIV」は、ゲームセンターでプレイできたので、たくさんプレイヤーがいたのですが、「ストリートファイターV」からはネットでの対戦が主流となったからです。東京に行って、オフラインで対戦した時に、まわりのレベルが高すぎて、食らいついていくのに精一杯でした。

東京に出て最初の頃はずっと負け続きだったので、対戦相手からすると、つまらなかったと思います。当時は、なんとか勝てないかと必死で模索していました。対戦相手にも「どこがダメでしたか」と聞きまくっていました。オフラインだとその場所ですぐ聞けるので、そういう環境があったことも大きかったと思います。時間はかかりましたが、少しずつ戦えるようになりました。

――成長できた要因はどういうところにあると思いますか?

東京に来た以上、やるしかなかったんですよ。中途半端にやると上京した意味がないので、とことんやろうと決めてやりました。

『CAPCOM CUP 2018』優勝を実感したのは賞金を手にした時

――『CAPCOM CUP 2018』の世界大会で優勝した瞬間はどんな気持ちでしたか?

勝った瞬間はあまり実感がありませんでした。でも、3,000万円ほどの賞金が入った時には、「これはヤバいな」と思いました(笑)。数年後になっても、その大会の映像が流されることもあり、あらためて権威のある大会で優勝できて良かったと感じました。でもこれは土台に過ぎないな、ここから積み上げていかなければならないなと思っています。ちなみにその大会の優勝賞金は年々上がっていて、今年は1億5,000万円ですね。

――レッドブルとの契約も、プロとして活動する上で大きかったですか?

大きかったですね。いろいろとサポートしてくれることもそうですし、世間からの見方が変わったことも大きかったです。プロゲームの世界はまだ認知度が低いので、まわりにアピールする時に、「レッドブルがスポンサーについています」と説明すると、わかりやすいと思います。

――ご自分のプレイヤーとしての強み、特徴はどのようなところにありますか?

いろいろなことをやるタイプだと思っています。時間をじっくり使いつつも、攻める時は攻め、守る時は守るというメリハリのあるプレイを目指しています。あとは、劣勢であっても、最終的には勝つんじゃないかと思われるプレイヤーでありたいです。観てくれている人にとっても、何かを起こすタイプのほうが観ていて楽しいでしょうし、そこはかなり意識しています。対戦相手に対しても、「この人には最後まで手を抜けないな」という怖さを植え付けることが、アドバンテージになることもあると思っています。

――プロゲーマーの醍醐味と大変なところを教えてください。

醍醐味は、普段練習していることを大会でできて、自分の成長を味わえることですね。ゲームにはストリートファイター以外にもいろいろなタイトルがありますし、歴史を積み重ねてきています。その歴史を作る渦中にいられることが、大きな醍醐味です。大変なことは、負けた時。でもそこも含めての醍醐味だと思っています。

――一日の中でどんな時間帯に、どれくらいの時間、ゲームと関わっていますか?

ゲームをやっているのは6、7時間ですね。多い時は10時間くらいやりますが、最近はちょっと減っています。大会前かどうかなど、その時々によって、対戦する時間を増やしたり、他の人の試合を観る時間を増やしたり、考える時間を増やしたり、時間配分が変わってきますね。

――ゲームをする上で大切にしていることを教えてください。

ゲームって、ミスをすると負けるんですよ。ミス以外の要素で負けた時は「しょうがないな」と思えるのですが、自分のミスで負けると、フラストレーションが溜まってしまうので、練習の時からミスを減らすように意識しています。

――仲間やライバルから刺激を受けることはありますか?

ありますね。同じGood 8 Squadのチームに所属しているぷげらとは、歳が近いこともありますし、僕が2、3年九州に住んだ時に、近くに住んでいたこともあり、仲良くなって、一緒にゲームもするようになりました。ぷげらに勝つとうれしくて、負けると悔しくて。いろいろと調べて「次は勝つ!」と、鍛錬することを繰り返しながら切磋琢磨できるいい関係です。同じGood 8 Squadに入ってからは、アドバイスもしてくれますし、感謝しています。

――ゲームに上達するためには、どんなことが必要だと思いますか?

モチベーションを維持することが重要ですね。でも最終的には、楽しんでやることに尽きると思っています。僕はかなり負けず嫌いなので、負けた時には悔しい思いをしますが、そのことも含めて、すべてが楽しいんですよ。今は生配信もあり、プロに質問できますし、アドバイスをもらえます。そうしたことも駆使すると、昔よりも効率的に強くなれると思います。

練習は「絶対に勝つぞ」、試合は「楽しむぞ」という意識

――大会に向けての準備と試合にのぞむ心構えについて教えてください。

大会に向けての準備で重要なのは、対戦相手の癖を勉強して頭に入れておくことと、大会によってルールの違いがあるので、ルールを確認しておくことです。心構えに関しては、あまり入れ込みすぎないようにするのがいいと思います。僕は試合の前には、かなり緊張するほうなんですよ。ひどい時には手がしびれて感覚がなくなる時もあります。でも、試合が始まると、緊張がなくなり、集中できるんですよ。それは「絶対に勝つ」と思わないようにしているからだと思います。練習中は「絶対に勝つ」と思ってやっていますが、試合に入る時には、楽しむことをイメージしています。

――使用しているPC、モニター、コントローラーなどを教えていただけますか?

PCはGALLERIAの「ストリートファイター6」推奨のものを使用しています。最近のゲームは、スペックを求められるものもありますが、なんの不自由もなくできるので、まったく問題ありません。モニターは、Zowie-BenQ、コントローラーはHitbox、キーボードはLogicoolの製品を使っています。

――「hi-hoひかり with games」を使ってみて、いかがでしたか?

上り下りの回線速度の数字もとても速いですし、ストレスなく快適にゲームができるので、ありがたいなと思っています。住んでいるところがマンションなので、以前は夜になると、回線の速度が遅くなることもあったのですが、「hi-hoひかり with games」は時間帯を気にする必要がありません。近年は海外の選手と対戦する機会も多いのですが、ラグなく対戦できています。

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――プロゲーマーとしての今後の目標を教えていただけますか?

プロゲーマーの認知度を高くしたいと考えているので、『ジャンクSPORTS』のような地上波のテレビ番組に出演したいですね。今、プロゲーマーとして生活できていますが、この先、何年続けていけるのかは、わかりませんし、ゲーム業界自体が今後どのように変化していくのかも予測できません。そうした状況であるだけに、この業界がずっと続いていく活動をしていきたいです。

現在、「ストリートファイターリーグ」という大きな大会が、地方活性化という趣旨もあり、毎年地方で開催されています。いつか自分も故郷である広島でゲームを通じて、何か貢献できたらと考えています。

ガチくん・プロフィール

1992年生まれ。広島県出身。Good 8 Squadに所属。2017年に上京し、2018年にレッドブルと契約してプロゲーマーとしてのキャリアをスタート。劣勢でも諦めないファイティングスピリッツあふれるプレイでファンを魅了。「Red Bull Kumite 2017」準優勝、「CAPCOM CUP 2018」世界王者、「ストリートファイターリーグ ワールドチャンピオンシップ 2022」でGood 8 Squadとして優勝など、国内外の多くの大会で活躍中。ゲーム業界の普及の目的も兼ねて、配信も積極的に行っている。

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