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2023.09.29

「IPv4 over IPv6」とは?OSやサイトでの確認方法も解説

近年インターネットの利用者は急増し、当初の通信技術では対応できない状況に陥ると考えられています。そのような中、当初の技術「IPv4」と新しい技術「IPv6」の両方に対応できるIPv4 over IPv6と呼ばれる技術が開発されました。

ただ、知らずにIPv4 over IPv6をすでに利用している場合もあります。この記事ではIPv4 over IPv6の概要をはじめ、利用中かどうかの確認方法、メリット、注意点を解説します。

IPv4 over IPv6とは?

IPv4やIPv6という用語を聞いたことがない人は多いかもしれません。しかし、インターネットの通信速度や安定性を重視するなら、ぜひ知っておきたい技術です。これはインターネットにおける従来の技術から新しい技術へ、変わろうとしている過渡期の今だからこそ誕生した技術といえます。

ここではIPv4 over IPv6という技術の特徴と、開発された理由を詳しくみてみましょう。

IPv4 over IPv6の特徴

IPv4 over IPv6とは、従来のIPv4という技術と新しいIPv6という技術の両方を通信規格として利用する技術です。IPv4は利用が集中しやすく通信遅延も起きやすい課題があるものの、現在多くのユーザーが利用しているため、より一般的な技術といえるでしょう。一方でIPv6は、IPv4の抱える課題が解消されていることからインターネットを快適に利用できますが、IPv4のみに対応したWebサイトにアクセスできないという問題があります。

そこで登場したのがIPv4 over IPv6です。IPv4 over IPv6は状況に応じてIPv4とIPv6を使い分けられるため、IPv4のみに対応したWebサイトにも、IPv6に対応したWebサイトにも接続できます。IPv4 over IPv6は、従来のIPv4から新しいIPv6に切り替わる過渡期にあるまさに今、必要とされる技術なのです。

IPv4 over IPv6が開発された理由

IPv4 over IPv6が開発された背景には、現在主流となっているIPv4方式による通信では、「アクセスの集中によって通信速度が低下してしまう」という問題が関係しています。これは、通信が終端装置を中継して接続するために起こる課題です。その解消のため、中継ポイントを介さない新しい接続方式のIPv6が開発されました。

しかしIPv6方式で通信するには、インターネットを接続する側だけでなく、プロバイダーなどの接続サービスもIPv6に対応する必要があります。対応していなければ、自動的にIPv4方式で接続するため速度は従来のままになり、改善は期待できません。

そこでIPv4 over IPv6の登場です。IPv4 over IPv6は終端装置を介さずにインターネットに接続するため通信を高速化でき、そのうえIPv6に対応していないWebサイトにも接続できます。IPv4 over IPv6は、IPv4とIPv6のそれぞれのメリットをあわせ持つ技術といえるでしょう。

IPv4とIPv6の主な違い

IPv4 over IPv6は、従来のIPv4と新しいIPv6をうまく使い分けられる技術といえます。しかし、インターネットの通信規格としてどちらが自分に合っているのかを判断するには、それぞれの特徴と違いを把握しなくてはなりません。

ここではIPv4とIPv6の違いを、5つの項目ごとに比較しながら明らかにしていきます。

通信速度

IPv4とIPv6では、通信のしくみが異なるため速度にも違いがあります。IPv4が対応する通信方式は「PPPoE」のみです。この方式はインターネットに接続するとき必ず終端装置にアクセスし、ユーザーIDとパスワードで認証が行われるため、アクセスするユーザー数が多いと混雑して、通信速度が遅くなってしまうという問題があります。

一方IPv6は「PPPoE」に加えて「IPoE」と呼ばれる通信方式にも対応しています。IPoEは終端装置での認証作業がなく直接インターネットにアクセスするため、ユーザー数が多くても混雑しにくく、安定した通信速度での利用が可能です。

割り当てられるIPアドレスの数

IPv4とIPv6では、割り当てられるIPアドレスの数にも大きな差があります。IPアドレスとは接続している機器を特定するための身分証明書のようなものです。

インターネットと接続している機器は、1台につき1つ、必ずIPアドレスが割り振られます。ということは、本人だけでもスマートフォンやパソコン、さらに仕事で使うパソコンやタブレットなどがあれば1人あたり数台、多ければ十数台分のIPアドレスが必要です。インターネットの急速な普及は、IPアドレスの数の不足を招く結果となってしまいました。

IPv4においてIPアドレスは2の32乗、約43億個を割り振れますが、この時点で不足するのは明確です。対してIPv6なら2の128乗、もはや無限に近いほどのIPアドレスを割り振れます。IPv6が主流になれば、IPアドレスの不足の心配はなくなるといってよいでしょう。

セキュリティの強さ

セキュリティの強さの面でも、IPv4とIPv6では違いがあります。IPv4では「IPsec」というプロトコルがオプション、つまり必須ではないのに対して、IPv6では必須とされています。IPsecは、盗聴されても通信内容が閲覧できないようデータを暗号化するプロトコルです。

IPv4ではIPsecが機能しているかどうかわかりませんが、IPv6では必ず機能しています。そのため、IPv6のほうが高いセキュリティを確保しやすいことが特徴です。

対応しているサイト

原則としてIPv4とIPv6には互換性がないため、接続できるWebサイトはどちらかを選んで対応しなくてはなりません。しかし現在主流を占めるのは、もともと利用の多いIPv4対応のWebサイトばかりで、IPv6対応はごく一部に限られています。

IPアドレスの割り当て数の問題だけでも、今後はIPv6への移行が必須です。とはいえ、現在あるIPv4対応のWebサイトを一気にIPv6へ変更するのは困難で、またIPv4にしか対応していないプロバイダー経由では、閲覧できなくなる恐れがあります。

通信に必要な機器

通信規格が異なるIPv4とIPv6では、利用するネットワーク機器も違います。切り替えるときは、これまで使っていたルーターなどの機器は、使えなくなる可能性があるため注意が必要です。

端末についていえば、WindowsやmacOSといったOSがサポート期間内であれば、とくに何の準備がなくてもIPv6を利用できます。AndroidOSやiOSの場合は、新しいバージョンはIPv6に対応しているため、最新バージョンであれば利用可能です。

IPv4 over IPv6を確認する3つの方法

とくに通信速度やセキュリティ性能の面からみて、できればIPv6を、難しいならIPv4 over IPv6を利用したいところですが、プロバイダーからただ「対応している」と聞いても一抹の不安が残ります。できるなら自分の目で、対応していることを確認しておきたいのが自然でしょう。

接続方式を判定するサービスはいくつかありますが、利用端末がパソコンであれば設定画面から確認できます。またブラウザでIPv6接続かどうかを判定してくれるサイトも複数あるため、パソコン以外の端末の場合は活用しましょう。

1.Windowsで確認する方法

Windows11を搭載したパソコンでは、次の手順でIPv6の接続が可能かどうかを確認できます。

  1. 「設定アイコン」をクリック(タスクバーにない場合は「スタートボタン」から「設定アイコン」をクリック)
  2. 左メニューの「ネットワークとインターネット」をクリック
  3. 右に表示されるネットワーク接続から、判定したいネットワーク接続を選んでクリック
  4. 判定したいネットワーク接続のプロパティをクリック
  5. 接続されていれば、表示される情報の下部に「IPv6アドレス」が表示される

表示されたIPアドレスが「2404:」や「2400:」「240b:」から始まっていればIPv6は開通しています。

2.Macで確認する方法

macOSを搭載したMacの場合の確認方法は次のとおりです。

  1. 画面左上のアップルマーク(メニュー)の「システム環境設定」をクリック
  2. 左メニューの「ネットワーク」をクリック
  3. 右に表示されるネットワークから、判定したいネットワーク接続を選んでクリック
  4. 判定したいネットワークの右にある「詳細」ボタンをクリック
  5. 「TCP/IP」のタブをクリック
  6. 右に表示される情報の、一番下に「IPv6アドレス」が表示される

Windowsと同様、表示されたIPアドレスの最初の4文字で、IPv6が開通しているかどうかを判定しましょう。

3.IPv6接続確認サイトで確認する方法

プロバイダーによっては、今の接続がIPv6接続かどうか判定してくれるWebサイトを用意している場合があります。もしなかったとしても、Googleなどで「IPv6 接続確認」と検索すれば、判定するサイトがいくつもあることがわかるでしょう。

どのWebサイトも、メニューやボタンの位置は異なりますが、同じように判定してくれます。「IPv6アドレス」欄にアドレスが表示されていることが、開通している証拠です。もし表示されていなければ、IPv6には接続されていません。端末の設定などを確認し、必要に応じてプロバイダーへ問い合わせてみましょう。

IPv4 over IPv6を利用する2つのメリット

本来互換性がなく、割り振れるIPアドレスの数などの問題から移行が急がれるIPv4とIPv6には、それぞれメリットがあります。とはいえ瞬間的に移行できるものではないため、IPv4 over IPv6という技術が誕生しました。名称に両方の通信規格名が含まれることからも、両方にメリットがあると考えられます。

ここではIPv4 over IPv6を利用する2つのメリットから、インターネット回線の選び方を考えてみましょう。

1.IPv6とIPv4を両方とも利用できる

現在、インターネット上にはIPv4対応のWebサイトとIPv6対応のWebサイトが混在しているため、普及が進みつつあるIPv6方式ではIPv4のWebサイトが閲覧できないといった不具合が発生してしまいます。

しかしIPv4 over IPv6なら、IPv4対応のWebサイトにも接続できます。これはIPv4 over IPv6が、IPv4コンテンツの手前でIPv6のパケットをIPv4に自動的に変換するしくみであるためです。IPv6の通信性能で、かつ世界の多くのIPv4対応Webサイトに接続できるのは、ユーザーにとっても大いに歓迎したいサービスといえるでしょう。

2.通信速度が速く安定している

IPv6はIPv4に比べて通信が混雑しにくく、通信速度が速いというメリットがあります。最近は企業でも画像や動画の取り扱いが増え、インターネット回線で通信するデータ量は増加する一方です。さらにビジネスにおける現在のクラウド化のトレンドは、よりインターネット回線の安定性と速さを求めています。そのような中、IPv4 over IPv6はその両方を兼ね備える、まさに今求められている技術といえるでしょう。

IPv6の「終端装置を必要としない」という特徴は、個人のインターネット利用にも大いに役立ちます。とくに安定した高速通信が必要な「オンラインゲーム」は、好例といえるでしょう。IPv6の特性を十分引き出せるプロバイダーとセットで利用すれば、より快適なプレイ環境を整えられます。

関連記事:回線を早くする方法!インターネット通信速度のよくある5つの低下原因

オンラインゲームや配信者向けインターネット回線「hi-ho with games」は、まさに通信の安定性と速度を求めるユーザーのために生まれたサービスといえます。もちろんIPv4 over IPv6採用で、さらにゲーミング専用ルーター付プランを選べば、遅延が少なく安定したWi-Fi環境でのプレイが可能です。

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IPv4 over IPv6を利用する際の注意点

IPv4 over IPv6にみられる新しい通信方式への対応と、速さを含めた通信品質の向上はとても魅力的だからこそ、これまでとは違う注意点もあります。いざ回線を乗り換えたとき「こんなはずではなかった」と悔やまずにすむよう、事前の確認が重要です。

ここではIPv4 over IPv6を利用するときの注意点3つを解説します。

プロバイダーとルーターそれぞれ対応が必要

インターネット回線を利用するには、回線とルーター、端末などいくつもの設備や機器が必要です。そのため契約するインターネット回線がIPv4 over IPv6対応でも、利用するプロバイダーや接続するルーターなどの機器が対応していなければ使えません。プロバイダーによってはIPv4 over IPv6の利用に追加料金がかかるものもあります。

新しくIPv4 over IPv6を利用するときは、今のルーターが利用できるかどうか、買い替えが必要ならどのようなルーターが必要か、入念な確認が必要です。

IPv4 over IPv6対応回線に乗り換えるときは、プロバイダーや機器が正式に対応しているか、トータルの費用はいくらになるかを確認しましょう。

関連記事:プロバイダとはなに?その意味や役割・選び方のポイントなどを解説

固定IP接続は利用できない場合が多い

一般にIPv4 over IPv6に対応した接続では、IPアドレスとポートは他のユーザーと共有することから、ユーザーに固定のIPアドレスやポートが割り当てられることはありません。そのため、PPTPを使ったVPNなど、固定のIPアドレスやポートで動作するアプリケーションは、使えなくなる可能性があることに注意が必要です。

とはいえプロバイダーのなかには、別途有料のオプションとして固定IPアドレスが利用できるものもあります。どうしても利用したい場合は、対応したプロバイダーを選ぶことが大切です。

しかし、固定IP接続対応のプロバイダーはあまり多くありません。料金や通信品質などの面で選択肢が減ってしまうのはやむを得ないでしょう。

ポート開放に制限がある

ポートとは、インターネット通信に使われるプログラムを識別するための番号をいいます。ポートが開放されると通信で使えるプログラムが利用できるようになるしくみです。ポートはIPアドレスと同様、複数のユーザーで共有します。

IPv4 over IPv6の通信技術は大きく3つ、「4rd/SAM」「MAP-E」「DS-Lite」です。このうち「4rd/SAM」「MAP-E」はポートを開放できても制限があり、「DS-Lite」にいたっては開放さえできないため、どちらにしても特定のポートを指定して利用するサービスは使えません。

IPv4 over IPv6を活用しよう!

インターネットの利用が急速に拡大し、接続する機器1台ずつに割り振られるIPアドレスが不足する事態を防ぐため、インターネットプロトコルはIPv4からIPv6への移行が求められています。しかしIPv4とIPv6はしくみの違いから互換性がなく、現在主流となっているIPv4のWebサイトはIPv6の技術では閲覧できません。そのため両方に接続できるIPv4 over IPv6という技術が誕生しました。

IPv4 over IPv6はIPv4・IPv6両方に接続できるだけでなく、通信がより速く安定しやすいという特徴があります。近年利用の多いオンラインゲームやインターネット配信には、とくに必要とされる技術といってよいでしょう。

もしそのような回線への乗り換えを考えていたら、オンラインゲームや配信者のためにデザインされたhi-ho with gamesの利用をオススメします。hi-ho with gamesは、数々のプロe-スポーツチームへの導入実績がある、まさにゲーマー向けの高速光回線です。

ユーザー専用帯域を設け、プランによっては次世代方式対応の快適かつ安定したWi-Fi接続を利用できるため、回線性能による不利な状況が解消できます。利用回線に応じたIPv4 over IPv6や、IPv6にそれぞれ対応したルーターがセットのお得なプランも選択可能です。

通信によるタイムラグや「撃ち負け」をなんとかしたい方は、ぜひ乗り換えを検討してみましょう。

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