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2026.06.10

家具メーカーが本気で作る、ゲーミング家具ブランド「Contieaks」の挑戦

eスポーツ市場の拡大や、配信文化の浸透によって、ゲーミングチェアやデスクを取り巻く環境はここ数年で大きく変化しています。
そんな中、”家具メーカーが作るゲーミング家具”として注目を集めているのが、関家具が展開するゲーミング家具ブランド「Contieaks(コンティ―クス)」です。
今回のインタビューでは、ブランド立ち上げの背景から、日本人向けサイズ設計へのこだわり、そしてこれからのゲーミング環境について、関家具 営業部 eスポーツプロジェクト課長の山本氏にお話を伺いました。

苦い撤退経験から始まった、コンティ―クス再始動の理由

――コンティ―クスを立ち上げたきっかけを教えてください。

山本氏:
大きなきっかけは、2018年に日本eスポーツ連合(JeSU)が立ち上がったことです。もともと弊社では、オフィスチェアなどの家具を取り扱っていて、その中で高級オフィスチェアとして「Ergohuman(エルゴヒューマン)」というワークチェアを取り扱っていました。そういった流れもあり、オフィス用途だけでなく、一部のゲーマーやストリーマーの方々にも使っていただいていました。

実は過去に、ゲーミングチェア市場に参入した経験があります。当時はまだ「ゲーミングチェア」という呼び方は浸透しておらず、「レーシングチェア」として販売していました。ただ、その頃は「eスポーツ」「ゲーミング」という文化が根付いておらず、結果として数年で撤退するという苦い思いがありました。

その後、JeSUが立ち上がりeスポーツ市場が一気に盛り上がってきたのを見て、「もう一度チャレンジしてみよう」と思い、再び開発企画を進めていきました。そして2020年1月にコンティ―クスというブランドを立ち上げ、正式にスタートしたという流れになります。

――山本さんご自身も、もともとゲームがお好きだったり、eスポーツ関係者の方々との関わりがあったんですか?

山本氏:
そうですね。私自身がかなりゲーム好きだったというのも大きいですし、当時の上司もストリートファイターが大好きだったという経緯があり、「ゲーミング家具プロジェクトを立ち上げよう」という話になりスタートしました。

ただ、僕たちは後発メーカーだったので、せっかく参入するならすでに販売されているゲーミングチェアやデスクに対して、ユーザーの方々が感じている不満や要望をしっかり取り入れたものづくりをしようと考えました。プロ選手の声も非常に重要だと思っていたので、当時スポンサー契約を結んでいたゲーミングチームさんや地元のゲーミングチームさんにご協力いただき、選手たちの声を聞きながら製品開発を進めていきました。

市場の不満を研究、後発メーカーだからこそできた製品開発

――関家具さんの家具をいろいろと使わせていただいているのですが、とにかく頑丈ですね。

山本氏:
年々、モデルチェンジやマイナーチェンジをしながら、見えない部分も少しづつ改善しているので、そういったところは自社ブランドで展開しているメーカーとしての強みかなと思っています。
当時のゲーミングチェアメーカーさんは、海外ブランドの製品をそのまま日本で販売しているケースが多かったんです。サイズ感や幅、座面の高さなどが日本人には合わないと感じられることもあり、コンティ―クスでは日本人に合ったサイズ感や使いやすさを意識して製品づくりをしています。

我々のような老舗の家具メーカーがゲーミングチェアを販売するということは、マスコミの方々にかなり新鮮に受け止められていました。そこから、テレビや紙面の取材があって認知度が高くなってきたっていうのがありましたね。
我々からすると、チェアやデスクは家具業界のものという感覚なのですが、当時はパソコンデバイスメーカーさんがチェアやデスクを展開しているケースが多かったので、「家具メーカーが本格的に参入してきた」という点が、新鮮に映ったのかもしれませんね。

――確かに、ゲーミングパソコンやデバイスメーカーさんが展開しているイメージがありますね。

山本氏:
本来であれば家具の領域なんですけれど、当時はまだそういう認識では見てもらえてなかったんですよね。ただ、実際には用途による使い分けってかなり重要で、特にゲーミングチェアやデスクは、その違いが顕著に出るジャンルだと思っています。だからこそ、「家具メーカーが本格的に作るゲーミング家具」という部分に新しさを感じていただけるようになったのかなと思いますし、ここ数年でそういった認識も広がってきたのかなと感じています。

海外製は日本人に合わなかった、コンティ―クスがサイズ感にこだわる理由

――コンティ―クスのゲーミングチェアについて、他社との違いはなんですか?

山本氏:
チェアでいうと、一番の違いはサイズ感ですね。2020年に発売した当時は、今ほど各社の製品が日本市場向けに最適化されていなくて、海外、特に欧米の製品がそのまま日本に流通しているケースが多かったんです。ただ、日本人って家の中では靴を脱いで生活するじゃないですか。そうすると、海外仕様のチェアだと座面が高すぎて足が浮いてしまうという声が結構ありました。

そもそもゲーミングチェアは車のシートをルーツにしているので、アクセルやブレーキ、クラッチを踏みやすくするために、座面の前側が盛り上がった構造になっているんですよ。なので、弊社のチェアはそこをできるだけフラットに設計しました。さらに、全体のフレームサイズもコンパクトに独自設計と調整をしています。その結果、しっかりとかかとが床につき、足が浮かないので、長時間座っていても血流が止まりにくく、楽に使っていただけるというのが大きな特徴です。

市場で売れているさまざまなメーカーの製品を片っ端から購入して、すべて分解して研究したんです。その中で、「どこが良いのか」「どこに課題があるのか」「どんな不具合が後々発生しやすいのか」といった点を細かく分析して、「コンティ―クスの製品はこうした不具合が起きないよう改善しよう」という形で、海外の連携工場とも協力しながら仕様を固めていったという経緯があります。

――徹底的に分析したうえで、それを参考にしながらブランドを作り上げていったんですね!

山本氏:
プロ選手たちは、当時すでにトップブランドのチェアを使っていることが多かったので、「ここは良い」「ここは改善できる」といった意見や要望をたくさん持っていたんです。そういった声も取り入れながら、工場や部材メーカーと相談しながら製品づくりを進めていました。

あとは、業者目線になりすぎない、というところも大事にしています。ゲーミングって、基本的に楽しいものじゃないですか。だからこそ、楽しさやユーザーの感覚をしっかり捉えながら製品開発を進めていく、というのは常に意識しています。メーカー都合だけでものづくりをしてしまうと、どうしても一方的な商品になってしまうので、ユーザーが「使っていて楽しい」と感じられる部分を大切にしたいという想いがあります。

ネット通販で「ゲーミングデスク」や「パソコンデスク」と検索すると、120cm幅・奥行60cmくらいのサイズがかなり多いんですよ。これは配送の梱包サイズの関係が大きいんです。配送会社さんにとって扱いやすくて、送料も抑えやすいサイズに収まる製品が中心になっているんです。ただ、実際の配信環境って、今は2画面・3画面が当たり前じゃないですか。だから我々としては、本当に必要とされているサイズを作ろうという考え方で、ユーザーさんの要望を汲み取りながら商品づくりをしています。

――そんな裏事情があったとは…確かに、私も120cm幅のデスクを使っていますが、狭く感じることは結構ありますね。

山本氏:
関家具という会社自体が、家具メーカーでありながら卸商社としての機能も持っているので、全国の家具屋さんで取り扱っていただけるという強みがあります。通販だけで考えると、大型商品の配送はどうしても送料面で難しさが出てきます。ただ、家具店を通じて購入いただく形であれば、全国にある取引先や配信網を活用できるので、より安くお客様のところにお届けできるのかなっていう背景も踏まえて大きいサイズまでラインナップを展開しています。

コロナ渦で一気に拡大、ゲーミングチェアの在宅ワーク需要

――eスポーツやゲーム環境が広がる中で、ゲーミングチェアやデスクは今後どのように変化していくと思いますか?

山本氏:
世間的にはあまり良くないですが、コロナ渦の影響は大きかったと思います。在宅ワークが一気に広がったことで、オフィスチェアや、弊社コンティ―クスのゲーミングチェアもすごく売れたんですよ。実際に購入して使っていただいたお客様が、「そろそろ買い替えよう」となるタイミングかと思うのですが、今市場で起きている変化としては、従来のレーシングデザインのゲーミングチェアではなく、オフィスチェアデザインのゲーミングチェアがかなり増えてきているんです。

コンティ―クスでも、そうしたワークチェアデザインのゲーミングチェアが非常によく売れています。レーシングデザインは没入感があって良いんですが、一般の方からすると「部屋に置きづらい」と感じる部分もあるのかなと思っていますので、今後はゲームに対応できるオフィスチェアをどんどん増やしていく形になると思います。

――最近ではオフィスなどの仕事場にも導入されているという情報を見かけます。

そうですね。本格的なeスポーツ大会とかになってくると、今後もレーシングデザインのチェアも使われていくと思うのですが、最近はプロ選手の方々も配信がメインになってきている部分がかなり大きく、長時間座ることが前提になるので、「蒸れにくい」とか「細かく調整できる」とか、そういう部分への要望がかなり増えてきています。

例えば、「ヘッドレストをもう少しここに当てたい」とか「首まわりをもっと細かく調整したい」とか、本当に細かいフィット感まで求められることが多くなってきています。なので今後は、より多機能で細かく調整できる”エルゴノミックワークチェア”のゲーミングチェアが、eスポーツやゲーム環境の中でもどんどん増えていくんじゃないかなと思っています。
デスクに関しても同じで、以前は120cm幅が標準サイズだったのですが、今は2画面・3画面が当たり前になってきていますし、ゲーマーの方々もゲーム配信のために動画編集をしたり、画像加工したりと、クリエイティブ作業までされることが増えているんです。そうなると、やっぱり120cm幅では足りなくなってくるので、今後は140cm・160cm幅くらいが標準サイズになっていくんじゃないかなと思っています。そういう意味でも、ゲーム環境そのものが、どんどん大型化・多機能化していく流れはあるのかなと感じています。

ゲームをしない人にも選ばれている、ゲーミングチェアの新しい需要

――過去、大きな大会でもコンティ―クスのゲーミングチェアが採用されていますよね?

山本氏:
ストリートファイターに関しては、SFL2023(ストリートファイターリーグ)のファイナルで、ルークとのコラボチェアを発表しました。大会会場では、実際に選手の方々に座っていただいたり、ファイナルの舞台で使用していただいたりしました。2020年には、「Rainbow Six Japan Championship」で出場選手のシートをすべて弊社のチェアでサポートさせていただきました。他にも「VALORANT」や「APEX」など規模の大小を問わずご要望があれば、チェアの貸し出しを行い、機材協力をするような対応を取っています。

結構面白いなと思っているのが、いわゆるお堅い業種「官公庁」などでの採用が増えていることですね。弊社ではまだ導入実績はないところですが、例えば消防局の指令所、119番の通報を受ける発令所などで、ゲーミングチェアを導入しようという動きが出てきています。東部地方の自衛隊でも、寮にゲーミングチェアを導入したいという動きがあったりして、実際に弊社でもご要望をいただき納品させていただいたケースもあります。長時間座る環境では、ゲームはしなくても快適な座り心地が重要なんですよね。ゲームをしない人でも快適に座れる椅子として導入されているケースが増えているのは非常に面白い流れだと感じています。

もっと安く届けたい、価格高騰の中で続けるものづくりへのこだわり

――コンティ―クスのゲーミングチェアは、なぜしっかりした作りなのに手に取りやすい価格なのですか?

山本氏:
正直に言うと、原油価格の高騰や為替の影響もあって、どうしても価格が上がってきているんです。2020年にブランドをスタートした当初は、ゲーム好きな方は大学生とか社会人の若い方が多いという考えがありました。だからこそ、大学生や高校生がアルバイトを1か月頑張れば買える価格帯のチェアを作りたいという想いから、3万円中盤くらいの価格帯が中心でした。でも今は、4万円クラスが当たり前になってきて、そこは心苦しい部分でもありますね。

――すごく頑丈、かつプロ選手の声が反映されたチェアにしては嬉しい価格帯かなと思いました。

山本氏:
うちのこだわりとしては、家具メーカーなので、しっかり頑丈に作る品質基準にはかなりこだわっています。もちろん、ゲーミングチェアのトップブランドさんも品質には力を入れていますが、低価格帯のメーカーさんと比べると違いは大きいと感じます。

社内で破壊試験や耐久試験を行える施設がありまして、繰り返し荷重をかける強度試験なども実施しています。素材の検査も細かく行っていて、例えば、ポリウレタン素材って湿気や経年劣化によって加水分解を起こしやすいんです。コントローラーやマウスの滑り止め部分がベタベタになってしまうのと同じ現象がチェアでも起こり得ます。なので、「劣化しやすい素材なのか」「長時間座っても状態を保ちやすい素材なのか」を社内検討できる施設もちゃんとあります。

どれだけ試験を重ねても絶対に壊れないとは言い切れませんが、品質としてしっかり担保していこうと。だからこそ、使用するパーツや素材についてもかなり厳選していますね。

――ゲーマーの中には一日中チェアに座って過ごす人も結構多いと思うので、劣化のしにくさ、長時間座っても大丈夫かはとても大事になってきますね。

過去に、チェアの「キャスターベース」が数年使ったら割れてしまい、お客様にご迷惑をかけたことがありました。そういった経験もあって、同じことを二度と起こさないよう、通常であれば納品された部材をチェックするだけなのが、弊社ではそこからさらに踏み込んで、原材料の樹脂のペレットをどんなものを使っているかまで全て把握しています。これは多分、他のチェアメーカーさんではなかなか難しいところかもしれません。

製品そのものだけではなく、”その奥でどんな素材で作られているのか”という部分まで遡って確認しているという感じですね。ただ、レーシングデザインのチェアは、どうしても「身体にフィットする、フィットしない」が出やすい製品でもありますので、弊社ではさまざまな部分を細かく調節できるオフィス系ゲーミングチェアとして、セレスティアルというチェアなどを展開しています。

ゲーム・配信・サブカルへ、コンティ―クスが描く未来のものづくり

――今後さらに取り組んでいきたいことや、注力していきたいことがあれば教えてください。

山本氏:
業界の流れ的にも、ワークチェアタイプのゲーミングチェアがどんどん増えてきていまして、ラインナップとしてすでにあるにはあるのですが、今後はより良いものを作っていきたいなと思っています。弊社だと「エルゴヒューマン」という最上位クラスのエルゴノミックチェアがあるんですが、そこに近いレベルのフラッグシップモデルみたいなものを作っていきたいんですよね。価格帯としては少し高くなると思うんですけど、その分本当に満足していただけるものづくりをしていきたいなと考えています。

あと、最近すごく感じるのが、配信者の方が本当に増えてきているってことですね。実際、関係者の方から「中学生の息子が配信始めたんですよ」みたいなお話を聞くこともあって、中学生くらいの年代から配信文化が広がっているんだなと感じます。ゲームをするだけだったら、パソコンとモニターとデスクがあれば最低限成立するんですけど、配信となるとそうはいかないんですよね。マイク、照明、複数モニター、配信機材だったりと、必要なものが増えていくので、今後は配信環境にきちんと対応した家具づくりを強化していきたいなと思っています。

あともう一つ大きいのが、コンティ―クスって自社ブランドなんですよ。自分たちでブランドを持って、工場と直接やり取りしながら商品開発をしているので、コラボレーションがすごくやりやすいんです。過去にはストリートファイター6とのコラボだったり、狩野英孝さんとのコラボ企画もやらせていただきましたが、今後もゲームタイトルとかアニメ、VTuberや著名人の方々とのコラボみたいなものは、どんどんやっていきたいなと思っています。単純に家具を作るだけじゃなくて、”面白いものづくり”ができるブランドとして、これからも展開していきたいですね。

さいごに

“ゲームをするための家具”として広がってきたゲーミングチェアやデスクですが、今では配信や動画編集、在宅ワークなどその役割は大きく広がり続けています。その中でコンティ―クスは、単に見た目や流行を追うだけではなく、「長時間でも快適に使えるか」「本当にユーザーが求めているものは何か」という視点を大切にしながらものづくりを続けてきました。

一度市場撤退を経験したからこそ見えている課題。そして、家具メーカーだからこそ追及できる快適性や品質。コンティ―クスが、今後どのような新しいゲーム環境を生み出していくのか、これからの展開にも注目です。

 

【ご協力】
株式会社 関家具 Contieaks 様
https://www.sekikagu.co.jp/contieaks/


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